1947年、有名なUFO墜落事件『ロズウェル事件』が起こる。そしてこの映画が製作された1950年代は各地でUFOの目撃情報が報じられ始めた頃でした。チャールズ・H・シニアはこれをヒントにして「宇宙人の円盤による侵略を描いた映画作ろう」と考え、『空飛ぶ円盤地球を襲撃す』は製作されることになったのです。以外と安直だが、きっかけなんて、まあこんなものでしょう。

この映画が製作される数年前、ハリーハウゼンはすでに円盤が登場する話を考案し、デッサンを残しています。本作とは無関係で、ジャングルに墜落した円盤と遭遇した人々の冒険物語だが、そのアイデアが『空飛ぶ円盤地球を襲撃す』に生かされた事は想像に難くない。

ナレーションでこの映画は始まる
「聖書の時代から人々は空に未知の存在を目撃してきた。別世界からの訪問者ではないかと推測された。」。
なかなか渋い、ドキュメンタリータッチのナレーションはさらに続く。
「各地で未確認飛行物体が目撃され、それは空飛ぶ円盤と呼ばれるようになる。空軍は世界中の目撃情報を収集し、目撃例の97パーセントは自然現象とされたが3パーセントは解明不能だった。厳密な調査と検証が続行された。結果、防衛司令部は各基地に次の命令を下した。」

「身元不明の飛行物体は全て攻撃せよ!」

(; ̄Д ̄)

米ソ冷戦まっただ中では、宇宙人とは侵略者でしかなかったのでしょう。
この時代の映画では宇宙人に遭遇するとすぐに発砲してしまう。当時は友好的宇宙人という発想があまりなかったのか・・・。『地球の静止する日』(1951)など友好目的で来訪した宇宙人を扱った映画も存在しますが、その映画でも最初の接触の際、恐怖のあまり軍隊が円盤から降りてきた宇宙人にいきなり発砲してしまいます。この時代の映画での宇宙人への対応はあまりにもマヌケなものが多い。地球よりも遙かに進んだ文明を持つ来訪者たちへの対応は、あまりにもお粗末。